万年筆は、美しい筆跡と滑らかな書き心地が魅力の筆記具です。長く愛用するためには適切なメンテナンスが欠かせません。キャップの閉め忘れや不適切な保管は、インク詰まりや劣化の原因になります。加えて、定期的な洗浄や適切なインクの使用も重要です。
本記事では、万年筆の正しいケア方法やトラブル対策を詳しく解説します。日々の手入れを習慣化し、万年筆を快適に使い続けるためのポイントを押さえていきましょう。
1.万年筆の日常ケア方法
・使用後のケア
・適切な保管方法
使用後のケア
万年筆を使った後は、キャップをしっかり閉めることが重要です。これにより、ペン先のインク乾燥を防ぎ、次回もスムーズに書ける状態を保てます。
また、使用後はティッシュや柔らかい布でペン先を軽く拭き取りましょう。余分なインクが残ると劣化や詰まりの原因になるため、この一手間が万年筆の寿命を延ばします。
万年筆のインクは、ほとんどが染料系で扱いやすいものです。ただ、水に強い文字を書きたい時には、顔料系のインクを使用します。顔料系のインクは乾きやすいので、使用後のケアは欠かせません。

私は以前、キャップを閉め忘れて一晩放置してしまい、翌日ペン先が乾いて書けなくなってしまった経験があります。それ以来、使用後はすぐにキャップを閉める習慣を身につけました。
適切な保管方法
万年筆は使わないときも適切に保管することで、その性能を長く維持できます。理想的にはペン先を上向きにして立てて保管すると、インク漏れやペン先のダメージを防げます。
また、高温多湿や直射日光が当たる場所は避け、涼しく乾燥した環境で保管しましょう。専用ケースやスタンドも活用すると便利です。
保管する時には、直射日光が当たる場所や高温多湿の場所は避け、涼しく乾燥した場所を選びましょう。特に、長期間使わないときには、注意が必要です。
ペンケースに収納する際は、ペン同士がぶつかって傷がつかないよう、仕切りがあるものを選ぶとよいでしょう。持ち運ぶ場合は、専用のペンシースを利用すると、衝撃を和らげることができます。

私の場合、専用のペンスタンドを使用しています。デスク上に置くことで、万年筆の存在感を楽しみながら、適切な保管ができています。

デスク上にあると、使いたいと思ったときにすぐに手が届いて便利です。万年筆は、身近な存在です。
2. 定期的な洗浄
洗浄の頻度
万年筆は2~3ヶ月ごとに洗浄することで、インク詰まりや書き心地の悪化を防げます。特に頻繁に使用している場合でも定期的な洗浄は欠かせません。また、新しい色のインクへ切り替える際にも洗浄しておくとトラブル防止につながります。
また、異なる色のインクを使用する際や、長期間使用しなかった万年筆を再び使う場合も、洗浄することでインク詰まりのリスクを減らすことができます。
インクの流れが良いと、書き味もベストな状態です。万年筆でさらさらと書くことは、特別な筆記具を使っていると実感できます。
洗浄の方法
手順 | 内容 |
---|---|
1. 分解 | 万年筆のキャップと胴軸を外し、インクカートリッジまたはコンバーターを取り外します。 |
2. 水につける | ペン先部分を水の入った容器に静かに浸します。インクが溶け出すまで数時間~一晩放置します。 |
3. 洗浄 | 水道水でペン先を軽く流し、インク残りを完全に取り除きます。 |
4. 拭き取り | 柔らかい布やティッシュでペン先や内部の水分を丁寧に拭き取ります。 |
5. 組み立て | 乾燥後、万年筆を元通りに組み立てて完了です。 |

3.インクの選び方と管理
適切なインクを選ぶ
万年筆には専用のインクを使いましょう。墨や絵の具など、万年筆用以外のインクを使うと、ペン先が傷んだり、インクの流れが非常に悪くなる可能性があります。 万年筆の寿命を縮める原因にもなるので注意しましょう。
万年筆には専用インクがおすすめです。同じメーカー製品なら相性も良く、不具合発生率が低くなります。また、不適切なインク使用によるトラブル(詰まり・色褪せ)も予防できますので注意しましょう。

私は以前、安価な汎用インクを使用したことがありましたが、ペン先の詰まりや、インクの色褪せなどの問題が発生しました。それ以来、信頼できるブランドの万年筆専用インクを使用しています。
万年筆の管理
万年筆を1週間以上使用しない場合、そのまま放置してしまうとインクが固まってペン先が書きにくくなります。なので、しばらく使わないなら万年筆からインクを抜いておきましょう。
コンバーター式なら、インクを抜いてから水で洗浄しておきます。インクが万年筆の中に余計に残ってしまわないように、洗い流しておくのです。

私は、1週間以上使わない予定の万年筆は、必ずインクを抜いてから洗浄して保管しています。カートリッジ式なら、インクがなくなるまでは毎日使い続けています。インクがなくなったタイミングで、洗浄します。
4. 万年筆トラブル解決法
インクが詰まってしまったら
インク詰まりが発生した場合は以下の手順で対応してください:
水洗い: ペン先部分だけ水で軽く洗い流し、固まったインク汚れを取り除きます。
インク交換: 古いインクカートリッジから新しいものへ交換します。
専用洗浄液の使用: 通常の水では落ちない汚れには、市販されている万年筆専用洗浄液がおすすめです。上記で改善しない場合は専門店でメンテナンス相談も検討しましょう。
インクが詰まってしまったら、とにかくインクを洗い流すことです。上記の3つの方法を試してみて、それでもインクつまりが解消されないときには、百貨店などの万年筆売り場に持って行き、メンテナンスに出すことができます。
洗浄液というのは、万年筆の各メーカーから販売されています。万年筆と同じメーカーのものを使うと、相性が良いです。初心者向けキットもありますので、試してみてください。通常の水では落ちにくい固まったインクをきれいにしてくれます。

私は、インクが詰まってしまったら、まず水でペン先を流します。それでも落ちないなら、水に近いぬるま湯に一晩つけておきます。これで、中に入り込んだインクはきれいになります。
書き心地がよくないときには
万年筆で文字を書いている時に、書き心地が良くないあるいはインクが出すぎている、文字がかすれる、紙に引っかかるといった感じがするなら、ペン先の調整をします。
ペン先の左右が対象であることを確認しながら、耐水のサンドペーパーを使って調整していきます。ただし、初心者にはハードルが高い作業ですから、専門家に相談するのが最適です。
万年筆を専門に販売している店舗や、大型文具店、百貨店の万年筆売り場に持参します。メーカーへ修理に出してもらえます。現在の万年筆がどういう状態で、どんな状態にしたいのか、具体的に伝えましょう。
修理期間は、2週間から1か月くらいが目安です。修理から戻ってきたら、連絡をもらうことも可能です。

私は、書き心地が良くないと思ったら、すぐに百貨店の万年筆売り場に持っていきます。購入した店舗がわかるならそこへ行きます。何度も購入している店舗に、相談できる店員さんがいると安心です。
5. 万年筆を長持ちさせる習慣
丁寧に取り扱う
定期的に状態をチェックする
丁寧に取り扱う
万年筆を長くさせるコツの一つは、丁寧な扱いにあります。精密機器である万年筆は、落下や衝撃に弱いため、細心の注意が必要です。 特にペン先は繊細で、衝撃で変形すると修復は難しく、高額でペン先ごと変えなければならない場合もあります。
万年筆の使用時は、デスクマットを敷くことをおすすめします。 万年筆を置いた時の衝撃を軽減してくれるからです。
保管する時には、キャップはしっかりと閉め、横向きでペントレーやペンケースに入れましょう。保管場所は、日光が当たるところや高温多湿のところは避けて、涼しいところにしてください。
乾燥させない、加湿の状態にさせない、ということが万年筆を丁寧に取り扱うことの基本です。

万年筆は、丁寧に扱うことで寿命を延ばし、長く使用できます。私は、愛用している万年筆は、ずっと使いたいと思っています。
定期的に状態をチェックする
万年筆を長持ちさせる習慣のひとつに、定期的に状態をチェックするという項目があります。長期的な使用と最適な書き心地を維持することが、目的です。
期間は、2~3ヶ月くらいが最適です。あまりンあがく空きすぎないよう、期間を決めてチェックします。
定期的な万年筆のチェックのポイント:
1.インクの残量確認:少ない時は早めに交換
2.ペン先の状態確認:インクで汚れていたら洗浄
3.アライメントの確認:ペン先の左右のスリットが均等か
4.書き心地の確認:ペン先の調整が必要かどうか
5.外観の確認:傷や汚れがないか確認

私は、2か月に一度は自分の万年筆の状態をチェックしています。特に、書いていて紙に引っかかりがないかという書き味は、重要なチェックポイントです。

いつもインクを入れて、すぐに使える状態にしている万年筆は、2本までと決めています。インクを入れたまま放置させないようにしています。インクがなくなったら、インクを入れるか違う万年筆を使うか、どちらを選ぶかが万年筆愛好家としての楽しみです。
まとめ
万年筆は、正しいメンテナンスと丁寧な取り扱いにより、長年愛用できる特別な筆記具です。日々のケアと定期的な洗浄、正しいインクの選択が、万年筆を長く使う秘訣です。愛情を持って接することで、万年筆で美しい文字を書き続けることができます。
万年筆を使う時間は、特別な時間です。 ただ書くだけの道具としてではなく、万年筆を愛用することで、大切なパートナーとなります。万年筆は、日々の生活に彩りを加えます。
万年筆との素敵な時間を楽しんでください。
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